祝日嬉しいはずが仕事の期限が圧縮されて嬉しくないのやばすぎます、よろしくです♪
今回は草野原々さんの『最後にして最初のアイドル』の感想です。
そもそも読んだのは一年前なのですが下書きに眠っていたので掘り起こしました。
読むきっかけになったのは『劇場版レヴュースタァライト』という作品が"ワイドスクリーンバロック"をテーマにしていたことです。
簡単にワイドスクリーンバロックを解説すると
・話のスケールがどんどん大きくなる
・突拍子もない展開が多々起こる
こんな感じの要素を含む作品てことですね。
本書は「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」を自称しているので買ってみたというわけです。
表題作はラブライブの二次創作を改訂したものらしくハヤカワSFコンテストや星雲賞を受賞しています。
読了してからこれを二次創作として作ったのはヤバいオタクじゃんと作者に対して若干引きました。
短編集で表題作と「エヴォリューションがーるず」「暗黒声優」が収録されていました。
それぞれ「アイドル」「ソシャゲ」「声優」をテーマにしています。
一番インパクトあった「最後にして最初のアイドル」のあらすじを。
あらすじ
生後6ヶ月からアイドルオタクの主人公古月みか。中学では両親の離婚により引きこもるも自分もアイドルになるという目標を持ち、高校生では親友となった新園眞織と共にアイドルとして活動する。みかは卒業後もアイドルを続けるため上京するが受からないオーディション、レッスン費を稼ぐための掛け持ちバイトに精神は蝕まれていく。そしてある出来事をきっかけにみかはマンションから飛び降りてしまう。
しかし彼女のアイドル伝説はここから始まるのだった。
感想
なんかストーリーがでかい公園ではしゃぐ犬みたいなんですよね。くるくる回ってどんどん突拍子の無い方向に進んでいきます。
こういった滅茶苦茶さは読んでいて予想を裏切りまくりで不思議と盛り上がるんですよね。
余りにカオスすぎると付いて行けなくて興味が途切れちゃいますが、そこの塩梅はいい感じだなと思いました。
ただ、気になったのが百合要素のオマケ感ですよ。
キャラの関係性を前提に話を始められる二次創作という形でなく、独立した短編として読むとそこが物足りなく感じましたね。
あとはグロ要素が目につく。
伊藤計劃さんの『虐殺器官』とかをリスペクトしてると思うのですが、、、
よろしくはカワイイので映画のスプラッタシーンとかは手で目隠ししながら見るんですが、文章だったので読んでもギリ耐えられたくらいでした。
あと一応、こんなタイトルですが普通にハードSFなので理系の知識が若干あったほうが楽しめると思います。とはいえ優しいのでかなり用語の解説をしてくれています。ただそれが「めっちゃ説明するじゃん」とシンエヴァ見た時みたいな感想抱いちゃう部分ではありました。
作品のテーマはわかりやすく「アイドルっていいよね!皆もアイドル意識持っていこう!」でしょうか。
作中ではアイドルの行動がオタク特有の拡大解釈によって歪んでいたり、行き過ぎたファンの行動をアイロニックに表現しています。現代のアイドルを取り巻く環境を風刺しつつも、作者の「アイドルとファンの相互ドライブ感最高!」っていう思いが文章から迸っています。読んでて押しつけがましいオタクだなと感じつつもそういうオタクは嫌いじゃないと読了してしまいました。
布教慣れしているであろうオタクの方々におすすめです。
評価7/10